そいつぁ底辺だっ!! ~ホームレスからの脱出~

葬儀屋からホームレスへと落ちた40男の華麗なる脱出劇(になるといいな)なブログ

日本は土葬禁止!? ~腰痛サポーターと言うと必ず「あぁコルセット?」と言い直してくる後輩が控えめに言ってウザい~

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土葬はできまぁす


日本で土葬ってできないですよね?

と勘違いをされてる方がおられますが、いえいえできますよ。正確に言うなら

昔から土葬がある地域ならできる

という感じですが。
もっとも火葬率が99%を越えてる日本では、ほとんど見かける事はないんですけどね。

私が住んでいるのは北近畿の山奥。葬儀屋に勤めだしたのが15年前になります。

その頃この地域では、自宅で行う葬儀が主流でした。自宅葬が盛んだった15年前だと、土葬も年に1,2件くらいは見かけましたね。

その後、葬儀の形も徐々に自宅葬からセレモニーホールでのお葬式が増えていき、自宅葬が減っていきます。ホール葬では土葬は行われなかったので、最後に私が土葬を見かけたのは7年前くらいだったでしょうか。


土葬って大変。……いやほんと大変だからっ!


なぜ土葬が無くなっていったんでしょうね?

ご遺体の腐敗等による衛生的な問題
土地の確保
時代の流れ
自治体からの許可がおりない

等が言われますが、まあぶっちゃけ大変なんですよ、土葬。


形が違う!

まず棺の形からして違います。
棺というと寝て入る『寝棺』を思い浮かべると思いますが、土葬の場合はサイコロ型の『座棺』が多いです。
読んで字のごとく、座って入って頂くんですけどね、体育座り、三角座りと呼ばれる状態で納棺です。
まあこれも寝棺より大変で……
座棺も腰くらいまで高さがあるので、入って頂く時もそれくらい持ち上げなければいけないですしね……
まぁ最後の方は寝棺の土葬になっていきましたけど。

置く場所も違う!!

次に自宅での安置場所。
え?祭壇の前でしょ?って思われるかもしれませんが、サイコロ型で高さもあるので、祭壇隠れちゃうんですよね……

自宅葬で火葬にする場合は、祭壇を組んだ後に納棺して祭壇前に棺を安置します。
一方、土葬の時はまず棺を安置。その後に棺の前に祭壇を作る感じですね。 
当然出棺の際には、祭壇の一部を片付けないといけません。そうしないと棺出せないんだもん……

ちなみに祭壇の一番上に神社というかお寺というか、建物っぽいのが乗ってますよね?あれを『棺前(かんまえ)』と呼ぶんですが、本来祭壇はお棺の前に祭壇を作る事から『棺前』といわれてます。今の時代はほぼ棺の後ろですけど。

移動手段まで違う!!!

そしていよいよ自宅を出発。埋葬場所へと行くんですが、霊柩車なんて使いません。ええ……かついで行きますよ……
時代劇の籠屋のごとく男4~6人でえっさえっさと運びます。
下の画像を見てもらえるとわかると思いますが、ほんと大名行列みたいですよね。色々な道具も持って歩きますし。

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様々な道具達……これ使い切りなんだぜ?

道具の説明しちゃうと長くなっちゃうんで流しながら雰囲気だけでも。
四旗(しはた)
画像の前の方で竹に長い紙ついてるそれです。

花籠(はなかご)
運動会で使う玉入れの籠みたいなのに、折り紙で作った花びらや小銭を半紙でくるんだ物を籠の中にいれます。道中この籠をゆっさゆっさと揺すると、花びらがヒラヒラー小銭がチャリンチャリンとばらまかれます。うちの地域では、後に続く会葬者はこれを拾って持って帰ると縁起がいいと言われてました

提灯(ちょうちん)
手にもつタイプのです。ちなみに私、昼行灯とはよく言われます。「夜につよいね(ハート)」という誉め言葉でしょうね。……ん?ああ、お前ポジティブだなともよく言われます。

龍頭(たつがしら)
龍の頭を模したもの

天蓋(てんがい)
棺の上にかぶせる屋根っす

あとなぜかキャラメル係
箱に入ったままのキャラメルをばらまきます。
これも小銭と同じく後に続く人が拾って持って帰ります。
他にも色々あるんですけどね、きりがないんでこの辺で。


この大名行列のような光景を見た高校生 

『やべ参勤交代やんっ』

って言ってました。それを聞いた私の先輩I川(40代 女性)が言いましたよ。

あのな、ハイスクールボーイよく聞け?
徳川幕府は地方の諸大名の力を削ぐ為に参勤交したんだよ。
だけど土葬は……土葬はな?
近所のおっちゃんと葬儀屋の

時間! 体力!! 腰の寿命!!!

根こそぎ削いででいくからなっ!?
少しでも大変と思ったら、そこでひれ伏して見送れやっ!


等とは思っても口に出さず、キャラメルを手渡し


合掌して……見送ってあげてね?


と優しい笑顔で言ってました。

何で「合掌して」の後、少しためたの?と思いながらも、その対応の仕方に感心です。

I川先輩、かっけーす。今日から尊敬します。
ごめんね、先輩。今まで心が狭いと思ってて。
I川のIは

優しさにあふれてるI(愛)

だったんだね?
と思った直後、高校生が見えなくなるなり


銀歯とれればいいのに


とボソッと言ったの、私聞いてましたからね?

I川のIはいつも通り

心の狭い悲しいI(哀)

だったよ。
おかえり、いつもの先輩。
とりあえず尊敬すんのはやめとくね。


掘れ……ひたすらにっ!

そして埋葬場所。事前に穴を掘っておかなければいけません。まあこれもひとの胸くらいの高さまで掘っておくんですけど、雨降ったら穴崩れるし……
最後に土葬をした際「ちょ人手が足りんから手ぇ貸してやっ!」と穴掘りを手伝ったのはいい思い出です。

『これ……うちらの仕事と違うやん?』

とはこれっぽっちも思いませんでしたよ?ましてや

『お礼が缶ビールとキャラメル?この組み合わせって……柿ピーの方が……てかできれば現金………』

なんて事は、思わなかったですよ?
エエ…ホントニ……腰痛かったですけど……


そんな色々と大変な土葬。うちの地域では今後見ることはないかと思うと少し寂しくもありますね。

今日のなげき

墓穴(ぼけつ)を掘(ほ)・る

身を滅ぼす原因を自分から作ることの例え。


本来の意味での墓穴を掘った結果
身は滅ぼさなかったけど腰は壊れた
お礼がキャラメルとビール
甘くて苦い思い出だよ…………

ぶたふぇでした。